多分、今ね、どん底って思ってる人、たくさんいると思うのね。
仕事も何もかもコロナのせいで狂っちゃった。
売り上げが9割減だとか、ほんとマジシンドイと思う。
行政からの補助金やなんやらあるかもしれないけど、それすら一回出るだけでずっと保証してくれるわけじゃない。
蓄え、体力があるところはいいよ。
でも、みんながみんなそうじゃない。
楽山?
どうだろう?
さっき、友達と電話してて、言われた。10年来の友達だけど。
「佐藤さん、そこまで深刻そうじゃないね」
深刻ですよ、深刻ですとも。
でもね、そこまで悲観もしてない。
お袋とも話してるんだけど、楽山、今の状態より暇な時があった。
そう、その10年ぐらい前かな。
売り上げはピークの時の半分。
コロナとか不景気とかじゃないよ。
自分の力不足。
ただそれだけ。
人にはいろんなこと言われた。
場所が悪いとか、高いとか。
修行を終え、ウチに帰り甘々の両親と仕事して。
有頂天だった時もあったかもしれない。
あの頃は、これでいいと、思ってた。
努力もしてなかったし、考え方も後ろ向きだった。
毎日、毎日、お客様が来ない。
だって、炊いた穴子が腐っちゃうぐらいお客様が来なかったんだよ。
親子3人でご飯食べながら言い合いになる事もあった。
でも、ボク自身、場所のせいにしたくなかった、時代のせいにもしたくはなかった。
なるべく平気な顔してたけどね、家に帰って布団に入ると涙が出てきた。
この先、どうなるんだろう。
野垂れ死しちゃうんじゃないかとか、自殺したら楽になるんじゃないかとか。
当時はほんと親子3人だけの世界。
SNSもやってないし、人脈もなかった。
ほんの一握りの友達だけが頼りだった。
これじゃいけない。
一発奮起して、やりたくないこともやった。
ホームページを新たに立ち上げ、ブログを書き始めた。
異業種交流会にも参加して人脈を作った。
何かためになるんじゃないかといろんなセミナーにも通った。
それからかな、少しづつお客様に来ていただけるようになったのは。
でもね、仕事に自信がつくことって一つもなかった。
どれだけセミナーに参加しても料理の腕が上がるわけじゃない。
どんな素晴らしい講演を聞いても味覚が鋭くなるわけじゃない。
ブログ書いてて寿司が握れるようになるわけじゃない。
やっぱ、料理人の生業は料理作ることなんよ。
自分の仕事のレベルを上げるのが職人よ。
それが商売に繋がる。
それが集客に繋がる。
それがお客様の心に響く料理になる、寿司になる。
だと思う。
一度、どん底見たから、今、どん底じゃないのよね。
免疫できちゃってる。笑笑
ボクのどん底は自分の力不足。
今回はそうじゃない。
コロナが収束したら、またきっと元に戻る。
みんな、大丈夫。
どん底見たら、次は上がるだけ。
シンドイけど、苦しいけど、頑張ろう。
ちゃんと仕事してたら貴方の仕事を認めてくれたお客様がきっと支えてくれる。
ね。

穴子を炊くたびに思い出す、あの腐っちゃった穴子のことを。
この穴子悪くなるまでにお客さん来てくれるだろうか?
今でも、あのどん底の頃を思い出す。
今がどん底だと思う人、数年後にはちゃんとやってりゃ、きっと大丈夫。
自分の仕事に誇りを持とう。
本物を提供しよう。
うん、きっと大丈夫だよ。