
修行時代の出入りの八百屋の大将が亡くなったのでした。
御歳、79歳。少し早いお迎えだと思います。
出入り業者さん。
板場の世界ではいろんな業者の出入りがありますがやっぱり、魚屋か八百屋なんですね。
入りたての丁稚にとって、この魚屋さんとか八百屋さんってのが唯一の息抜きになったりするんです。
たった一人で調理場で早くから仕事を始めてたり、休憩時間に仕込みをしていると、配達にきた魚屋さんや八百屋さんがいい話し相手になりましてね。
愚痴を聞いてくれたり、励ましてくれたりしたもんです。
自分の親より年上なのに、「かっちゃん」とか「しんちゃん」とか「としくん」なんて呼んでも怒りもしない。
いい時代でした。
時々、配達が間に合わないと取りに行ったりもするんです。そうすると
「内緒で缶コーヒーでも飲んできな」
なんてお駄賃くれたりしてね。
小僧さんだから可愛がられるんです(笑)
だんだん位も上になってくると、業者さんにも文句を言わなきゃならなくなる。
「こんな悪いもん、納品してくれたら困るよ」
とか。
缶コーヒー飲ませてくれた思い出があるんでどうも心苦しい(笑)
出世するのも嫌なもんです(笑)
あの頃、現役バリバリだった人たちがもう人生の日暮れ期にきてるんですなぁ。
昨日、焼香しながらそんなことを思っていました。
野球の話をしたり、相撲の話をしたり。親方に内緒で飲みに連れて行ってくれたりね。
懐かしい思い出です。
今でも、そんな付き合いってあるんですかねぇ。
3丁目の夕日みたいな日本が懐かしいです。
かっちゃん、安らかに。
天国でも、いい野菜、売ってください。
合掌。