久しぶりに皆で競馬場に行こうという話になった。
08年のジャパンカップダート。
この年から阪神競馬場に舞台が移された。
「あの頃、こんなG1レースなかったよな」
あの頃…
僕たちは学生で夏は海にテニス、冬はスキー。
大人たちはバブルの景気に溺れていた。
競馬場にもよく行った。
オグリキャップにタマモクロス、
僕たちのアイドルだった。
誰と誰が付き合ってたとか
子供の進学の話とか女房の愚痴とか。
まるで、あの頃のように話が弾んだ。
「ところでやっぱりヴァーミリアンか?」
「そうだろ、あっさりG16勝?」
僕は応える。
「カネヒキリ」
「あん?もう終わったんじゃねぇ?前走惨敗だぜ」
「わからんぞ、復活するかも」
確信が持てたわけじゃないけど頑張って欲しかった。
屈腱炎から復帰したカネヒキリ、もう一花咲かせて欲しかった。
冬空の下、スタートが切られた。
何年ぶりだろう、こいつらと競馬を見るのは。
カネヒキリは先行策だ。
「よし、ついてけ」
心の中で呟く。
誰かが「ヴァーミリアン」と叫んでいる。
直線を向くと大外からヴァーミリアンとメイショウトウコンが
並んで迫ってきた。
カネヒキリはやっぱり伸びないのか。
すると、祈りが通じたのか彼の馬体が前に出る。
1馬身ほど抜け出したが3頭が併せ馬のようになった。
そしてカネヒキリは頭差でしのいだ。
「おい、お前の言うとおりだったやん」
「まあな」
僕はホッとしたような嬉しいような。
「そういえば、最後の学生スキー大会、
お前、怪我明けで優勝したっけ」
「記憶力、悪いな、相変わらず」
皆で笑った。
「おい、今年の冬は久しぶりに山、行こうか」
復活のカネヒキリが冬の約束までプレゼントしてくれた。
G1 ジャパンカップダート 12月4日 阪神競馬場 ダート 1800m
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